林丘寺

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開山様を偲ぶ白つばき

「見るままにゆきげのそらと成りにけり さえぬにさゆる霜月の空」
秘蔵抄で詠われた情景そのままに寒さが増し、雪がふりそうな気配が濃くなる林丘寺の11月。この時期は、林丘寺の開山忌にあたります。

開山忌とは、お寺を開創した開山様の祥月命日に行う法要のこと。
第108代天皇・後水尾上皇が、第八皇女・朱宮光子内親王へと贈られた朱宮御所(音羽御所)。
1680(延宝8)年の後水尾上皇ご逝去に際して内親王はご出家し、御所を門跡尼寺・林丘寺となさいました。
つまり林丘寺の開山様は内親王殿下であり、11月にはその祥月命日がある、ということなのです。

冬の先ぶれが教えてくれる、私たちのお寺の歴史。
その重みに、背筋がよりいっそう伸びる思いがします。

凛とした空気が呼び覚ますのは、林丘寺の成り立ちだけではありません。
後水尾上皇がお手植えになられた白侘助(白つばき)もまた、ひんやりとした風で目を覚まし、枝いっぱいに見事な花をつけていきます。

そんな白侘助を少しだけいただいて、花器にいけるのも霜月ならではのお楽しみ。
しなやかな枝ぶりや清らかな花を器にどう移しとろうかと、庭をぐるぐる回っては、「いい加減にしなさい」と家人にたしなめられるのもまた、この季節の風物詩です。

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